No.1の単語帳とは

高校レベルの単語帳の話をします。

高1くらいではユメタン、シスタン、と使っている学校が多いようですが、

受験に必要な語彙力を鍛えるにはやはり

「必修英単語【標準編】」→「ターゲット1900」

という流れが王道のようです。

Z会の必修英単語は、【応用編】などもあるようなので、そちらに着手する意識の高い受験生もいます。

必ず、ということはないです。学校で使っているものをボロボロになるまで何周もすることが大事です。

あとは本の作りやレイアウト、解説の読みやすさなどで自分で書店で見比べて決めたら良いでしょう。

番外編で鉄緑会の「鉄壁」という分厚い単語帳もあります。

接頭辞や派生語などの情報が潤沢で、読みものとしても魅力的ですが、何しろ字が小さくて分厚いので、なかなか一周できないというやりにくさはあるかもしれません。

東大を意識する生徒さんは、ほとんどの場合持っているかもしれませんが。

 

単語帳について私が声を大きくして言いたいことがあります。

それは単語帳は辞書がわりにするな。

ということです。

辞書を必ず引こう!と言い換えてもいいです。

単語帳は最低限。小さく第二、第三の意味も書いてあることもあるけど、それはおまけ。

単語帳で第三の意味まで覚え込んでいる生徒さんを見たことがありませんし、難関国公立大ではかならず、重要単語の第二、第三の意味を要求してくるという事態に、それでは対応できません。

本当によくできる生徒さんなのに、受験直前期、英語についてはほとんど伸びず、結果第一志望に合格できなかった生徒さんがいましたが、その生徒さんは辞書を引かず、単語帳で済ませるという習慣がありました。

単語帳は最低限。辞書を引こう。

ルビ訳つき『Great Gatsby』

「Great Gatsby(邦訳:グレート・ギャッツビー)」読み始めました。

学生時代から好きな本です。原書でも既に2回くらいは読んでいます。

しっかりと文学を味わえる難しさもありながら、手の届く平易な英文であるところが気に入っています。フィッツジェラルドの作品は概してそれが当てはまるし、若者の目線を大事にしているので、好きです。彼の名タイトルは、「若者は皆哀しい」。

 

さて、今朝見つけた表現はこちら。

When I came back from the East last autumn I felt that I wanted the world to be in uniform and at a sort of moral attention forever; (Great Gatsby, Ruby Books, p.10)

the Eastというのは地球儀におけるEastということで「東側諸国」くらいの意味かと思います。「東洋」と言えばいいでしょうか。世界大戦への言及があります。

そのあとです。

I wanted the wolrd to be in uniform...

「世界に制服を着ていて欲しい」?それだとよくわからないので、"uniform"を「制服」でなく「均一」という抽象名詞に読み替えるとします。

「世界に均一でいて欲しいと思う」。それも文脈としてはよくわからないのです。

こちらの書籍、なんとルビ訳で、ちゃんとルビがこの箇所についていました。

「世界が軍服を着て、いわば直立不動の姿勢をとる(のを望んでいた)」。

1から10まで定められ、変則というもののない生活に一種、安住を覚えるという意味かと思いました。

"uniform"は「制服」で良かったんですね。

ルビ訳、素晴らしい!ということで、ルビ訳つきの『Little Tree』を早速追加購入しました。

パターン・プラクティスについて

英文法は項目がかなり膨大ですが、習得の仕方として、私が教えていた塾ではパターン・プラクティスの手法を使っていました。

パターン・プラクティスとは、型に当てはめながら自分で正解を書いてみるというやり方です。

I go to school.

という英文を、日本語訳を基に書かせます。

次は、主語をHeに変えて書いてもらいます。

He goes to school.

三単現が出てきて、変化が現れました・

次に、主語をBobに変えて。

Bob goes to school.

これも三単現を必要とします。

次は述語を変えて。

Bob swims fast.

He swims fast.

I swim fast.

こんな規則的と言える変化が続きます。こうして、正しい英文に易しく誘導しながら、書き分けるコツを身につけて行ってもらいます。これがパターン・プラクティスです。

この手法が正解な生徒さんもいれば、じつはそうでもない生徒さんもいます。

仮定法の単元なんかでは、特にシステマティックに練習していくのですが、これが「逆によくわからない」というドツボにハマることもあるんです。

パターン・プラクティスをやっていると、誘導されるから自分で深く考えない、応用問題やパターンの見えない設問をやっているときに、正しく書くことができない、と言うのです。

よくできる生徒さんで、まだ基礎的なところをさらっている段階の子ほど、パターン・プラクティスは向かないと思います。

とにかく定着が遅めの生徒さんには、ぴったりな手法だとは思いますが。

塾はほとんどの場合教材が一律なところが、デメリットだと思います。

このやり方はこの生徒さんには向かないな、と分かっていても、システム的に、

それを終えないと次に進めないようになっていたりして、無駄があります。

生徒さんにとってもムダですが、講師にとっても、やりにくい、非生産的な時間です。

塾への信頼があるから、生徒さんや保護者は従ってくれますが。

教材ややり方が合わないという理由で退塾される方ももちろん少なくないです。

学習意欲の高い、自分で何を今やっているのか把握することのできる生徒さんほど、塾の一律教材や一律の手法は向かないと思います。

参考書・問題集について(1)

参考書や問題集は昔ながらのものをまだまだ現役で使うことができます。

古くなっている内容などは、改訂されています。

旺文社「基礎英文問題精講」が一番の好例です。

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基礎英文問題精講

昨年あたりに4訂版が出て、ずいぶん内容が新しくなったとともに、構文編は少し易しくなったかなという印象です。解釈しにくい、難解な構文も相変わらずちらほら含まれてはいますが。

例えば第一番目の構文の内容はタトゥーについての文章です。
しかもタトゥーを民族的に肯定している文化に言及し、一概に拒否するべきものなのか、という倫理的な問題提起をしている好文です。変わったな、現代的に刷新されたな、という印象を一目で受けました。

それでも、文脈編、応用問題編と、一筋縄でいかない手強い問題集であることには、「基礎英文問題精講」はその占めている地位を奪われていません。国公立大学を受験したいのなら、難関と言われる国公立であるほど、やり込むことが必要だと言われている一冊です。

単語を覚えられない(3)

英単語を覚えられない...

interpreter(翻訳家)、engineer(エンジニア)、university(大学)のような、

中学1年生で出てくるようなわりと基本的な単語さえ、

単純暗記に苦しむ、というような生徒さんは実は少なくないです。

どうも、文字が記号のように見えるらしいです。

それを克服するのは皆大体同じやり方。

「手」と「目」で覚えるという方法です。

ノートが2冊必要です。

「手」を使って、1冊目のノートが真っ黒くなるまで、声に出して発音しながら何十回と書き、それを一覧にまとめた別のノートを、スキマ時間に何度も見直すことで、

「目」で確認していきます。

 

本人の覚悟が相当必要な勉強方法でもあります。

「自分は覚えられないから、他の人の2倍も3倍も単語をやらないといけない。」

という自覚と行動力が不可欠です。

 

中1、中2くらいまでの単語をこの方法で徹底的に定着させていけば、

その先は不思議と開けてきます。自分なりに英語の正書法に慣れ、

単語のクセについて理解し始め、覚えるのが徐々に、徐々に、早くなっていきます。

 

正書法とはこういうもので、英単語にはこういうクセがある、という講釈を

垂れることも、徹底して易しくやれば、有効なのかもしれないという気もしています。

ただ、この「英単語のクセ」を体系的に説明するのはなかなか講師の知識量が問われる大変なことでもあります。発音と密接に絡んでくる分野でもあります。

うまいこと「英単語の綴りのクセと発音」についてまとめている参考書はないかなと、日々探してもいますが、知識の断片的な解説が、あちらこちらの教材に散らばっているばかりで、求めている参考書を見つけたことはないのです。

綴り(spelling)について述べている英語の論文などは多くあるようなので、

チャンスを見つけて2、3読んでみたいものですが。

単語を覚えられない(2)

英単語をなかなか覚えられないことの理由の一つに、

正書法(orthography)」と呼ばれる、単語の表記方法の仕方が、英語は複雑だということがあります。

複雑さは、

「英単語は読み方と、書き方(綴り)にギャップがある」

ということにあります。

oneという単語を、例えば「o-ne(オネ)」と読むことはできません。

正しくは【wʌn】ですよね。

 

歴史的に、この発音と綴りとのギャップを埋めるべく、綴りを改良する取り組みが各国で行われてきています。

正書法という考え方について、わたしは自分が大学生のとき、第二外国語でロシア語を学習した時に知りました。

ロシア語は、発音と綴りにギャップが少なく、知らない単語でも、

綴りを見たままに発音してみれば、それが正解だということが多々あります。

 

英語という言語につまづいた時、もっとさらに他の外国語を学習することで、

英語を客観視することが可能になるんですね。

少し脱線しましたが、次回は単語を覚えられない生徒さんがしている

習得法や工夫について言及したいと思います。

単語を覚えられない

英語につまづいた高校生が中一の教材をやるところを、

わたしは何度も見てきました。

 

高校1年生、高校2年生、高校2年生の冬、さらには高校3年の春から、

中学1年生をやり直すんです。

 

英語がニガテな生徒さんの中で、一番わかりやすく、また一番厄介なのが、

「単語の綴りをなかなか覚えられない」

という子です。

astronaut(宇宙飛行士)

という規則性のなさそうな単語に、苦しみます。

astr-または astro- が「天空」「宇宙」を表す、というような説明をこちらとしてはしたくても、

まだ接頭辞を区切って読むということをよく理解していない段階なので、

いきなり導入すると混乱の極みになってしまいそうです。

接頭辞については、段階的に伝えてはいくのですが...

中1くらいの英単語だと、単純暗記も必要なのではないかと私は思うのです。

 

何も考えなくても、さっと書けるほど定着させること。

何十回と書いて、手が覚えている状態にまですること。

 

そういう英単語ほど、どれだけ年数を重ねてからでも、覚えているものではないでしょうか。